畑野泰人氏

「繊細な畳表。どんな人が作っているのだろうか」

 

畑野氏の畳表

2004年。先代から受け継いできた畳表のラインナップをより充実させられないか。

あらゆる畳表を探っていくなかで出逢ったのが、茣蓙蔵十平 畑野泰人氏の畳表でした。

なかでも上級品から高級品において、独特の繊細さを持つ畑野氏の畳表。

きめ細やかに織り上げられたその美しさに惚れ込み、すぐさまラインナップに加えさせていただくことに。

 

畑野泰人氏

こんなにも繊細な畳表を、一体どんな人が作っているのだろうか。

知りたい気持ちを抑えきれず会いに行くと、その繊細な畳表とは相反するような、情熱的な人物がいました。


 

「美意識が高いけん」

 

時は経ち、2023年。新商品「さすらい」の開発に向け、熊本県は宇城市 茣蓙蔵十平を再訪問。

扇状のい草 織機


扇状に掲げられたい草。しなやかに織り込まれていく畳表。なぜこんなにも美しいのか。

「そりゃあ美意識が高いけん。うちにしかできん畳表だ」と話す畑野さん。


「執着せんといかん」

 

畑にはちょうど植え付けが済んだい草の苗が立ち並んでいた。

い草の栽培には気温や天候、土の状態など、自然物だからこそ気にかけることは多く、油断の隙はない。

畑野氏の目元 畑野氏の手元


「い草に執着しろ。完璧に辿り着くことはないから。とにかくい草のことを考え続けて、もっともっと執着せんといかん」

その妥協を許さない目と、精確な手つき、何十年をも先を見据えたその心意気が生み出す世界。

彼が扱う“い”。それは、確かな美しさをもつ“い草”。

そして、自らの手で生み出すものへの“執着”。

そんな尊き“い”を『さすらい』に込め、世界中にお届けしたい。